線の長さ・面積・体積・表面積の定義といろいろな図形の求積

僕自身の復習を兼ねて、求積について下記の4つの手順を踏まえて説明する。

・導入(前提となる知識についての簡単な説明)

・定義

・証明

・応用

また、それぞれの説明の最期には簡単な例題を載せ、

まとまりのあるところで章末問題を載せました。

教科書に即した学習は学習効果が高いであろうという配慮のためです。

 

下記のリストに、説明する”いろいろな図形の求積”を列挙した。

・線の長さ

 ・陽関数

 ・陰関数

 ・媒介変数表示(2次元)で表された図形

 ・極方程式(2次元)で表された図形

 ・ベクトル方程式で表された曲線

・面積

 ・陽関数

 ・陰関数

 ・媒介変数表示(2次元)で表された図形

 ・極方程式(2次元)で表された図形

・体積

 ・軸周りの回転体

 ・x,y,zについての方程式

 ・

なるべく平坦な言葉で図を用いて説明するように心がけました。

あまり先入観を持たず文章通りに理解していけば、高校数学に疎い(特に数3を学習していない)人でも理解できる内容になっているはず。

 

 

陽関数

線の長さ

導入

関数の定義をする。

例えば、1ドルを仮に100円とすると、

1ドルを銀行に持っていけば100円に、2ドルを持っていけば、200円に両替できる。

xドルを銀行に持っていけば、 x \times 100円に両替できる。

すなわちこれを数式で表すと、y =  x \times 100 = 100x

ここで、yはxドルで両替できる金額(円)を表す。

今ままでの例を抽象化したものが関数の定義である。

すなわち、ある数xを与えた時それに対応するある値yがただ一つ定まる時、

yはxの関数であるといい、これをy = f(x)で表す。

f(x)はxの関数であるという意味。

使用する文字はtでもkでも何でもいいが、普通はxとyを上記で述べたように用いる。

では、陽関数とは何かと言うと、普通の関数と同じものです。

普通の関数をあえて陽関数というのは、陰関数(厳密には陰関数は関数ではない)との対比のためです。

y = f(x)という数式がでてきたら、ああこれは関数であり陽関数でもあるんだなと思えれば十分です。

(例題)下記のうち、yがxの関数であるものを全て答えよ。

1. y = f(x) 

2. y = 30x - 3 

3.  y^{2} = 2x

答え

関数の定義域・値域の定義

y = f(x)の定義域はxの範囲で、値域はyの範囲を表す。

例えば、さっきのy =  x \times 100 = 100xを考えてみる。

1ドルはたしかにあるけど、1.5ドルや0ドルや-2ドルなんていうドル紙幣はないわけです。

だから、xの範囲は1,2,3,4,5.....であるからxの範囲は正の整数。

そして、そのxに対応するyの値を求めると,

100,200,300,400,500...であるからyの範囲は100の正の倍数。

よってy =  x \times 100 = 100xの定義域は正の整数、値域は100の正の倍数である。

 ただし、関数の定義域は数直線上で連続性を持っていないといけないという考え方もある。

 

ここで下記のリストにいろいろな関数の定義とその概形を列挙しておきます。

いろいろな関数

・一対一対応の関数:a ≠ bとする。このときf(a) ≠ f(b)ならばf(x)は一対一対応の関数であるという。

○一対一対応の関数

×これは一対一対応の関数ではない

 

逆関数:f(x)は一対一対応の関数であるとする。このときf(x)の定義域と値域を入れ替えた関数をf(x)の逆関数といい、 f^{-1}(x)で表す。

・合成関数:関数f(x)の値域が関数g(x)の定義域に含まれているとする。このときg(f(x))は合成関数であるという。合成関数を表す記号はありますがほぼ使わないので書かない。

・指数関数: f(x) = a^{x}の形の関数を指数関数という。ただし、aは定数。

・対数関数:指数関数の逆関数を対数関数といい、 f(x) = \log_{a} xで表す。

・分数関数: f(x) = \frac{a}{x-p} + q の形の関数を分数関数という。ただし、a,p,qは定数。また、分数関数の逆関数は分数関数になる。

これは y = \frac{1}{x}の概形である。

その他の関数の定義は適切なところで記述する。

 

数列の極限

数列の定義をまず述べる。

定義域が自然数(1,2,3,4...)となっている関数を数列といい、記号 a_nやb_nで表す。

その上で数列の極限を定義する。

例えば、\displaystyle a_n = (\frac{1}{2})^{n}はnを大きくしていけばしてくほど、a_nは0に近づく

 このとき、\displaystyle 数列{ (\frac{1}{2})^{n}}の極限値は0であるという。

すなわち、数列の極限の定義は下記のようになる。

\displaystyle nを大きくしていくと数列{a_n}の値が定数aに限りなく近づいていくとき、

\displaystyle 数列{a_n}の極限値はaであるといい、\lim_{n \to \infty} a_n = aと表す。

極限はaであるといってもいい。

これはあくまで高校数学の定義である。

(例題):

数列の総和と無限級数の定義

\displaystyle k=1からk=nまでのa_kの値を足し合わせたものを数列の総和といい、

\displaystyle \sum_{k=1}^{n}a_k で表す。

\displaystyle すなわち、\sum_{k=1}^{n} a_k = a_1 + a_2 + a_3 + .... + a_{n-2} + a_{n-1} + a_n

\displaystyle 総和の極限を無限級数あるいは級数といい、\sum_{k=1}^{\infty}a_kで表す。

\displaystyleすなわち、\lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} a_k = a_1 + a_2 + a_3 + .... + a_{n-2} + a_{n-1} + a_n + ....

数列の総和は数列であることに注意。

 

関数の極限

左極限と右極限の定義

例えば、y = taiseiniman(x) (x>=0)という関数を考える。

意味はxの小数点を切り捨てた値をyとするということである。

taiseiniman(1.45)は1,taiseiniman(π)は3ということ。

概形を書くの下記のようになる。

 ここで、x<1としてxを1に限りなく近づけていった時のyの値は0で、

このyの値をx→1のときの左極限値という。

同様に、x>1としてxを1に限りなく近づけていった時のyの値は1で、

このyの値をx→1のときの右極限値という。

つまり、左極限と右極限の定義は下記のようになる。

aを定数とする。x < aとして、xをaに限りなく近づけていった時のf(x)の値が

定数bに限りなく近づくならば、bをx→aのときの左極限値といい、

\displaystyle \lim_{x \to a-0} f(x) = b で表す。左極限値を左極限といってもいい。

また、x > aとして、xをaに限りなく近づけていった時のf(x)の値が

定数cに限りなく近づくならば、cをx→aのときの右極限値といい、

\displaystyle\lim_{x \to a+0} f(x) = cで表す。右極限値を右極限といってもいい。

(例題)

関数の極限の定義

\displaystyle\lim_{x \to a-0} f(x) = cかつ\lim_{x \to a+0} f(x) = cであるとき、

\displaystyle cをx→aのときのf(x)の極限値といい、\lim_{x \to a} f(x) = cで表す。

関数の連続の定義

\displaystyle\lim_{x \to a-0} f(x) = cかつ\lim_{x \to a+0} f(x) = cかつf(a) = cであるとき、

\displaystyle関数f(x)はx=aで連続であるという。※x=aで関数f(x)がくっついているということ。

\displaystyleこれらに基づいて、先程のy = taiseiniman(x)の左極限・右極限・極限・連続性を考えてみると、

\displaystyle \lim_{x \to 1-0} taiseiniman(x) = 0,\lim_{x \to 1+0} taiseiniman(x) = 1,taiseiniman(1) = 1であるから、

\displaystyle x→1の左極限は0でx→1の右極限は1であるから、x→1の極限は存在しないので、x=1でこの関数は連続ではないということがわかる。

 

導関数の定義

\displaystyle \lim{h \to 0} \frac{f(x+h) - f(x)}{x+h - x}をxで微分したときのf(x)の導関数といい、f'(x)で表す。

\displaystyle \frac{f(x+h) - f(x)}{x+h - x}はxを定数と考えればhの関数であると見ることができることに注意。

 

不定積分と定積分の定義

導関数f'(x)に対して、元の関数f(x)を原始関数といい、

f(x)を導関数とする時元の関数(原始関数)をF(x)と表記する。

不定積分の定義

F(x)を原始関数とするとき、[ F(x) + C ] をxについてのf(x)の不定積分といい、

 \displaystyle \int f(x) dxと表す。ただし、Cは定数で積分定数と呼ぶ。

 \displaystyle すなわち、\int f(x) dx = F(x) + C

なお、f(x)を積分せよというのは、xについてのf(x)の不定積分を求めよといってるのと同じ。

積分の定義

[ F(b) - F(a)] をxについてのf(x)のx=aからx=bまでの定積分といい、

 \displaystyle \int_a^b f(x) dxと表す。ただし、a &lt; b

 \displaystyle すなわち、\int_a^b f(x) dx = F(b) - F(a)

x=aからx=bまでのf(x)の積分を求めよというのは、\int_a^b f(x) dx を求めよといっている。

 

 

導入は終わりです。次に陽関数の線の長さの定義とその値の求積に関する証明をします。

 

定義

例えば、y = x^2のx=0からx=0.6までの曲線の長さLを考えてみる。

曲線上の点を(x,x^2)と表すことにする。

x^2の概形は下記の通り。

 ここで、曲線上の点(0,0^2)と点(0.6,0.6^2)を通る直線の長さで近似することが可能である。

すなわち、下図の黒線の長さで黄色の曲線の長さを近似できるということ。

これを式で書くと、 \sqrt{0.6^2 + (0.6^2)^2} \sim L

 ※  \sim は、左辺と右辺の値が近い値であることを表す。

 

分割する直線を3個に増やして近似すると、

求める式は、\displaystyle \sum_{k=1}^{3} \sqrt{0.2^2 + \{0.2^2k^2 - 0.2^2(k-1)^2\}^2} \sim L

 

さらに、分割する直線を6個に増やして近似すると、

 求める式は、\displaystyle \sum_{k=1}^{6} \sqrt{0.1^2 + \{0.1^2k^2 - 0.1^2(k-1)^2\}^2} \sim L

 

つまり、分割する直線を無限個に増やして近似したものが曲線の長さLであると考えられる。

すなわち、\displaystyle L =  \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \sqrt{(\frac{0.6}{n})^2  + \{(\frac{0.6k}{n})^2 - (\frac{0.6k - 0.6}{n})^2 \}^2  }

これはy = x^2だけでなく他の関数についても同様のことが言える。

すなわち、関数f(x)のx=0からx=0.6までの曲線(直線も含める)の長さLは、

\displaystyle L =  \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \sqrt{(\frac{0.6}{n})^2  + \{f(\frac{0.6k}{n}) - f(\frac{0.6(k-1)}{n})\}^2  }

 (\frac{0.6k}{n})^2 - (\frac{0.6k - 0.6}{n})^2をf(\frac{0.6k}{n}) - f(\frac{0.6(k-1)}{n})に置き換えただけ。

さらに、x=0からx=aまでの曲線の長さLは、

\displaystyle L =  \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \sqrt{(\frac{a}{n})^2  + \{f(\frac{ak}{n}) - f(\frac{a(k-1)}{n})\}^2  }

0.6をaに置き換えただけ。

そして、これを陽関数の曲線の長さLの定義とする。

すなわち陽関数f(x)のx=0からx=aまでの曲線の長さLは、

\displaystyle L =  \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \sqrt{\Delta x^2  + \{f(k\Delta x) - f((k-1)\Delta x)\}^2  }  ただし、\Delta x = \frac{a}{n}と置いた。

また、x = bからx = aまでの曲線の長さL'は、上記より

 \displaystyle L' = \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \sqrt{\Delta x^2  + \{f(k\Delta x) - f((k-1)\Delta x)\}^2  }  - \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \sqrt{\Delta x'^2  + \{f(k\Delta x') - f((k-1)\Delta x')\}^2  }

求積

いろいろな量の求積は面積に落とし込めて求めるのが基本であり、

曲線の長さについても同様に求められる。

 \displaystyle すなわち、\lim_{n \to \infty} \Delta x \sum_{k=1}^{n} f((k-1)\Delta x) = \int_{0}^{a} f(x) dx を利用して求積するということ

この等式に関する証明は面積の項で行うので、必要あれば参照してください。

話を戻して、Lの級数表示をすこし変形する。

 まず、nを\Delta xの式で表す。

 すなわち、\Delta x = \frac{a}{n}であるから、変形して n = \frac{a}{\Delta x}

\displaystyle また、n → \inftyのとき、\Delta x → 0であるから、Lの級数表示は以下のように変形できる。

 \displaystyle L =  \lim_{\Delta x \to 0} \Delta x \sum_{k=1}^{\frac{a}{\Delta x}} \sqrt{1  + \{\frac{f((k-1)\Delta x + \Delta x ) - f((k-1)\Delta x)}{\Delta x}\}^2}

 \displaystyle ここで導関数の定義より、\lim_{\Delta x \to 0} \frac{f((k-1)\Delta x + \Delta x ) - f((k-1)\Delta x)}{\Delta x} = \lim_{\Delta x \to 0} f'((k-1)\Delta x)であるから、

 \displaystyle 代入すると、L =  \lim_{\Delta x \to 0} \Delta x \sum_{k=1}^{\frac{a}{\Delta x}} \sqrt{1  +f'((k-1)\Delta x)^2} 

  ここで、g(x) = \sqrt{1 + f'(x)^2}とおけば、

  \displaystyle L =  \lim_{n \to \infty} \Delta x \sum_{k=1}^{n} g((k-1)\Delta x) であるから、

 \displaystyle L = \int_{0}^{a} g(x) dx

   \displaystyle すなわち、 \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \sqrt{\Delta x^2  + \{f(k\Delta x) - f((k-1)\Delta x)\}^2  } = \int_{0}^{a} \sqrt{1 + f'(x)^2} dx を得る。

 \displaystyle よって、L' = \int_{0}^{a} \sqrt{1 + f'(x)^2} dx - \int_{0}^{b} \sqrt{1 + f'(x)^2} dx = F(a) - F(0) -F(b) + F(0) = F(a) - F(b)

 \displaystyle = \int_{b}^{a} \sqrt{1 + f'(x)^2} dx を得る。

定義と積分表示をまとめた表を下記に示す。

定義 意味 積分
   \displaystyle\lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \sqrt{\frac{b}{n}^2  + \{f(k\frac{b}{n}) - f((k-1)\frac{b}{n})\}^2  } - \sqrt{\frac{a}{n}^2  + \{f(k\frac{a}{n}) - f((k-1)\frac{a}{n})\}^2  } f(x)のx=aからx=bまでの曲線の長さ  \displaystyle \int_{a}^{b} \sqrt{1 + f'(x)^2} dx

 また、媒介変数表示で表された曲線の長さを求める積分は陽関数のそれを包含しているので、合わせてここで証明しておきます。※これは教科書で書かれている証明です。