線の長さ・面積・体積・表面積の定義といろいろな図形の求積 (2)


媒介変数(二次元)で表された曲線の長さL


導入

媒介変数表示の定義

yがxの関数であり、

xとyがそれぞれt(tは変数)の関数であるとき、

x = g(t), y = h(t)をまとめてtの媒介変数表示といい、

tを媒介変数という。

例えば、y = 4x^2は、tを用いて

 x = \frac{t}{2}, y = t^2 と表示できる。

逆に媒介変数表示からもとの関数を求めたい時は、

連立方程式を解くようにtを消去すれば良い。

例えば、x = 2t+1 , y = 3tを求めると、

x = 2t+1の両辺にそれぞれ-1を足したあと、2で割ると、

 t = \frac{x-1}{2}であるから、これをyに代入すると、y = \frac{3(x-1)}{2}を得る。

またxの定義域はtは実数全体(定義域が明示されていない場合はほぼ実数)であるから、

x = 2t+1より実数全体。

 

定義
 x = g(t), y = h(t)の媒介変数表示を考える。

陽関数と同様に、t=0からt=bまでの曲線の長さLは、

 \displaystyle L = \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \sqrt{ \{ g(\Delta xk ) - g(\Delta x(k-1))\}^2 + \{ h(\Delta xk ) - h(\Delta x(k-1))\}^2} と定義する。

ここで重要なのは、媒介変数表示では点の軌跡が重複する場合があるということ。

例えば、 x = \cos\theta , y = \sin\thetaは単位円を表す媒介変数表示であるが、

 ( \cos\theta , \sin\theta )と( \cos{\theta+2n\pi} , \sin{\theta+2n\pi} )は同じ点を表すから、

 \theta = 0から\theta = 2n\piまでの曲線の長さは2n\piである。nは正の整数とする。

 したがって、上記のLの定義は 点Pが\theta = 0から\theta = 2n\piまで進んだ時の道のりの長さといったほうがよいかもしれないが、簡単にするため曲線の長さとする。

 ただし、\Delta x = \frac{b}{n}と置いた。b \lt 0であることにも注意。

 

証明


教科書に書いてある方法と上記の陽関数で利用した方法の2つを示す。

 

(上記の陽関数で利用した方法)

 

 \displaystyle n → \inftyのとき、\Delta x → 0であることに注意してLを変形すると、

 \displaystyle L = \lim_{\Delta x \to 0} \Delta x \sum_{k=1}^{n} \sqrt{ \frac{\{ g(\Delta x(k-1) + \Delta x) - g(\Delta x(k-1))\}^2}{\Delta x^2} + \frac{\{h(\Delta x(k-1) + \Delta x) - h(\Delta x(k-1))\}^2}{\Delta x^2}}

 \displaystyle 導関数の定義より \lim_{\Delta x \to 0}  \frac{\{ g(\Delta x(k-1) + \Delta x) - g(\Delta x(k-1))\}^2}{\Delta x^2} = g'(\Delta x(k-1))^2,

 \displaystyle \lim_{\Delta x \to 0}  \frac{\{ h(\Delta x(k-1) + \Delta x) - h(\Delta x(k-1))\}^2}{\Delta x^2} = h'(\Delta x(k-1))^2であるから、

 \displaystyle L = \lim_{\Delta x \to 0} \Delta x \sum_{k=1}^{n} \sqrt{ g'(\Delta x(k-1))^2+ h'(\Delta x(k-1))^2}

\displaystyle ここで、i(t) = \sqrt{ g'(t)^2+ h'(t)^2} とおくと、

\displaystyle L = \lim_{n \to \infty} \Delta x \sum_{k=1}^{n}i(\Delta x(k-1)) とおけるから、

\displaystyle L = \int_0^b \sqrt{ g'(t)^2+ h'(t)^2} dtを得る。

\displaystyle すなわち、\lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^{n} \sqrt{ \{ g(\Delta xk ) - g(\Delta x(k-1))\}^2 + \{ h(\Delta xk ) - h(\Delta x(k-1))\}^2} = \int_0^b \sqrt{ g'(t)^2+ h'(t)^2} dtを得る。

 \displaystyle  \lim_{n \to \infty} \Delta x \sum_{k=1}^{n} f((k-1)\Delta x) = \int_{0}^{a} f(x) dxを用いた。証明は面積の項参照

\displaystyle よって、t=aからt=bまでの媒介変数表示で表された曲線の長さL'は、

\displaystyle L' = \int_a^b \sqrt{ g'(t)^2+ h'(t)^2} dt であり、特にg(t) = tのとき、

\displaystyle L' = \int_a^b \sqrt{ 1 + h'(x)^2} dx

 

(教科書の方法)

微小部分を考えることによって求積する。

例えば、微小な面積を考えて面積を求積するなど。

教科書に書いてあるやり方はだいたいこれ。

面積でも、曲線の長さでも、体積でも微小部分を考えることによって求積している。

x = g(t), y = h(t)で表された曲線をCとする。

ここで、t=aからt=zまでのCの長さをL(z)とする。

今、上記の陽関数の曲線の長さを一つの直線で近似する方法を思い出してほしい。

媒介変数表示でも同様に一つの直線で近似でき、

\displaystyle t = z から t = z +hまでのCの長さをlとすると、l \sim  \sqrt{ \{ g(z+h) - g(z)\}^2 + \{ h(z+h) - h(z)\}^2} である。

  \displaystyle ここで、\lim_{h \to 0} \sqrt{ \{ g(z+h) - g(z)\}^2 + \{ h(z+h) - h(z)\}^2} = \lim_{h \to 0} L(z+h) - L(z) ....(1) であるはずだから、

 \displaystyle \lim_{h \to 0} \sqrt{ \frac{\{ g(z+h) - g(z)\}^2 }{h^2}+ \frac{\{ h(z+h) - h(z)\}^2}{h^2}} = \lim_{h \to 0} \frac{L(z+h) - L(z)}{h}となるので,

 \displaystyle L'(z) = \sqrt{ g'(z)^2+ h'(z)^2} ...(2)を得る。

 \displaystyle (2)の両辺をz=aからz=bまで積分すると、

 \displaystyle L(b) - L(a) = \int_a^b \sqrt{ g'(z)^2+ h'(z)^2} dz

\displaystyle ここで、定義よりL(a) = 0であるから、

 \displaystyle L(b) = \int_a^b \sqrt{ g'(z)^2+ h'(z)^2} dz

 すなわち、t=aからt=bまでのCの長さLは、

 \displaystyle L = \int_a^b \sqrt{ g'(t)^2+ h'(t)^2} dt である。

 

 

 応用

座標平面上で動く点の一瞬の速さ

 

一瞬の速さを求める前に、その概念の元となる一瞬の変化率について説明します。

導関数の定義とほぼ同じですが、

関数f(x)におけるx=aの一瞬の変化率とは、

 \displaystyle \lim_{h \to +0}  \frac{f(a+h) -f(a)}{(a+h) - a }あるいは\lim_{h \to +0}  \frac{f(a) -f(a+h)}{a - (a+h)}....(1)が存在(実数の範囲で)し、

 \displaystyle \lim_{h \to -0}  \frac{f(a+h) -f(a)}{(a+h) - a }あるいは\lim_{h \to -0}  \frac{f(a) -f(a+h)}{a - (a+h)}...(2)も存在(実数の範囲で)し、

 \displaystyle しかも、(1)と(2)が全く同じ値cであるときに限ってx=aにおける一瞬の変化率が存在し、

 \displaystyle cをx=aの一瞬の変化率といい\lim_{h \to 0}   \frac{f(a+h) -f(a)}{(a+h) - h } = cと表す。

なので、(1)と(2)が等しくない時一瞬の変化率は存在しない。

例えば、y = |x|はx = 0の一瞬の変化率は存在しない。||は絶対値を表す。

 y = |x|のグラフ

 一瞬の変化率なんてものは、結局割合を一般化したものに過ぎないということです。

 

本題

 座標平面上で、点Pはt秒後に点( g(t) , h(t) )にあるとする。

 すなわち、t=0のときの位置( g(0) , h(0) )から点Pが出発して上記のように動くとする。

 ここで、点Pがs秒からs+h秒の間に進んだ道のりの長さ(距離)lは、

 t = sからt=s+hまでの媒介変数表示で表された曲線Cの長さであるから、

 \displaystyle l = \int_s^{s+h} \sqrt{g'(t)^2 + h'(t)^2 } dt で与えられる。

 \displaystyle また、f(t) = \sqrt{g'(t)^2 + h'(t)^2 }と置くことにする。

 \displaystyle この点Pのs秒のときの速さ|\vec{v}|(表記については後ほど説明)を求めてみると、

 \displaystyle 速さ = 道のりの長さ/かかった時間 であるから、

 \displaystyle \lim_{h \to +0} \frac{\int_s^{s+h} \sqrt{g'(t)^2 + h'(t)^2 }dt}{s+h - s}= \lim_{h \to -0} \frac{\int_{s+h}^{s} \sqrt{g'(t)^2 + h'(t)^2 }dt}{s - (s+h)} = y が成り立つ時、

 \displaystyle |\vec{v}|= yであるということである。

 \displaystyle ここで、\int_s^{s+h} \sqrt{g'(t)^2 + h'(t)^2 }dt = F(s+h) - F(s)であるから、

 \displaystyle 導関数の定義より、 \lim_{h \to +0} \frac{F(s+h) - F(s)}{h} = f(s)

 \displaystyle 同様に、\lim_{h \to -0} \frac{\int_{s+h}^{s} \sqrt{g'(t)^2 + h'(t)^2 }dt}{s - (s+h)} = f(s)であるから、

 \displaystyle すなわち、|\vec{v}|= \sqrt{g'(s)^2 + h'(s)^2 }

 \displaystyle 逆に、点Pが速さ\sqrt{g'(t)^2 + h'(t)^2 }で進む時、]

a秒からb秒までに進んだ距離Lは、

 \displaystyle L = \int_a^b \sqrt{g'(t)^2 + h'(t)^2 }dt

 

 

極方程式で表された曲線の長さ

これは瞬殺である。

導入

極座標の定義

https://kotobank.jp/image/dictionary/daijisen/media/103064.jpg

図を用いて説明する。

図のOは座標平面上の原点を表し、

直線OXはX軸を表す。

また極座標では原点Oを極といい、X>0とするときOXを始線という。

ここで半直線OX上(X>0とする)に点P'を取り、

線分OP'を反時計回りにθラジアン回転した線分を線分OPとする。

このとき、θラジアンを点Pの偏角といい、線分OPの長さrを点Pの大きさという。

すなわち、点Pを極座標で表すと点(r, θ)となる。

普通、点の大きさはr,点の偏角ラジアンで表し、

点(r, θ)のように書く。※点(r, θラジアン)とかいてもいい。

イメージは下記の図を参考にすると良い。

 極方程式の定義

例えば、中心点が原点で半径がaの円周上の点pを極座標で表すと、

p(a, θ)である。

このとき、点pの極方程式はr = a という。

a = 2のときの円を極座標上で描いたもの。極方程式はr=2である。

 

すなわち、点pの極座標が(f(θ), θ)(θはある範囲)で表される時、

点pの極方程式はr = f(θ) (θはある範囲)という。

 

極方程式で表されるいろいろな図形

 

 

極方程式の媒介変数表示

 点Pの極座標(r,θ)の媒介変数表示は、

 x = r\cos \theta , y = r\sin \theta

 

証明